子どもとその家庭に関わる職員たちの疲労や傷つきは深刻

今、子ども虐待、いじめ、不登校等をはじめとして、子どもたちを取り巻く状況は厳しいものがあります。そして、その子どもたちとその家庭との関わりに、つらさ、きつさを感じながらも、それにめげることなく誠実に向き合い続ける児童相談所や児童養護施設等の職員たちがいます。しかし、そのつらさ、きつさゆえに、疲労し、傷つきを重ね、心身に不調をきたしていくといったことが起こります。バーンアウトをしてしまう職員もいます。こうしたリスクを常に抱えているのが子どもとその家庭の支援者たちなのです。

支援者支援コーディネーター養成講座は、子どもとその家庭の支援者を対象とした支援者支援の専門的な知識と技能を習得するための講座です。一般的なメンタルヘルスケアの知識を学ぶものではなく、専ら子どもとその家庭の支援者に焦点をあてた支援の理論と技法の習得を目指します。

講師 藤岡孝志 Takashi Fujioka

日本社会事業大学名誉教授
専攻:子ども家庭福祉学・支援者支援学

支援者が支援されてこそ、子ども家庭支援が成り立つ

子どもやその家族との関わりの中で、つらさ、きつさを感じながらも、それにめげることなく立ち向かう支援者たち。そうして誠実に子どもたちとその家族に向き合い続けるからこそ、支援者は深刻な疲労に至ってしまいます。だからこそ、その浸蝕による自己統合感の低下、主体性の低下、解離的な一貫性のない養育への無意識的な自動化・ルーチン化などを避けるためにも、支援者支援が欠かせないのです。

主な著書:『支援者支援養育論-子育て支援臨床の再構築-』(ミネルヴァ書房,2020)、『これからの子ども家庭ソーシャルワーカー-スペシャリスト養成の実践-』(ミネルヴァ書房,2010)(監修、日本社会事業大学児童ソーシャルワーク課程編)『愛着臨床と子ども虐待』(ミネルヴァ書房,2008)、『不登校臨床の心理学』(誠信書房,2005)他

支援者支援コーディネーターとは

  • 支援者支援の専門性が高い水準にあることを認定した民間資格です。
  • 児童相談所や児童養護施設職員等の子どもの支援者の疲労や傷つきに対して、支援者支援の専門知識と技法を駆使してその職員を支援する役割を担います。
  • 児童相談所等の子ども家庭支援の機関や児童養護施設等の子どもの入所施設において2年以上の実務経験をお持ちの方であって、すべての講座を修了した方が資格審査に申し込むことができます。

支援者支援コーディネーターに期待される役割

職員の相談支援
(個別支援・グループ支援・組織支援)

支援者支援に関する専門的な知識や技能を駆使しながら、職員からの相談に対する助言・指導等を行います。職場環境改善に向けた助言等の役割も期待されます。

職員の心身状態のモニタリングとメンタリング

職員それぞれの心身状態を管理し、子どもとその家庭に向き合う最適な状態を維持するためのサポートをします。

支援者支援に関する研修

支援者支援をテーマとした職場研修を企画・実施して、支援者支援に関する職場全体の理解度を向上させます。メンタルヘルスケアに関する啓発も行います。

支援者支援の専門性の向上

所属団体における実践や取組成果をまとめ、他の支援者支援コーディネーターとシェアします。他組織・団体の先駆的な実践内容についても学び、専門性の向上に努めます。

支援者支援コーディネーターが必要な理由

多くの子ども家庭支援の現場で職員が疲労し、傷つきを重ねています!

児童相談所や児童養護施設等の子ども家庭支援の現場では、虐待などの逆境的な体験をしてきた子どもとその家族に向き合う過程の中で、支援者である職員自身が心にケガを負ったり、子どもやその家族から攻撃の標的になってしまうことがあります。それでも、寄り添い支え続けなくてはなりません。そうして、気づかぬ間に深刻な疲労へと至っていくのです。

心身の不調や心のケガはそのつもりがなくても子どもや周囲の大人に脅威を向けてしまう引き金になります!

常に高いストレスにさらされ、深刻な疲労に至ってしまった支援者は、その受容しきれなくなった苛立ち、焦り、怒りといったネガティブな感情を不適切な態度や言動というかたちで子どもや周囲の大人たちへ向けてしまうことがあります。支援者にそのつもりがなくても、守るべき相手を傷つけてしまうことにつながってしまうのです。

支援者支援コーディネーターの導入によって職場のメンタルヘルス対策と支援の質の向上につながります!

支援の対象である子どもやその家族から信頼を得るためには、それだけ安定した支援者として在り続けられるかが重要です。しかし、子ども家庭支援の現場の職員は、共感・傾聴という対人援助の基本スキルを駆使した結果として、傷つき、疲労してしまうため、常に安定した状態で存在し続けることはとても困難です。他者の支援があってこそ、職員が安定し、支援の質が向上していくポジティブなサイクルが生まれるのです。

支援者支援コーディネーター養成講座について詳しく知る

支援者支援コーディネーターとは、支援者支援に関する知識の学習あるいは研修を受け、かつ、支援者支援の技法について習熟した者と認めた民間資格です。

この講座は、児童相談所等の子ども家庭支援のための機関や児童養護施設等の子どもの入所施設の職員向けの専門的な講座です。

Q:一部の講座だけ受講したい。A:資格取得の希望者でなくとも講座の全部又は一部の受講が可能となっております。

支援者支援コーディネーター養成講座の受講を申し込まれた方から興味関心がおありの方まで、どなたでも無料でダウンロードいただけます。